昨今の感染症蔓延でここ数年中止していた各地の花火大会が

開催されていて、大阪でも天神祭や淀川花火大会などで見事なアートが

夜空を染め上げております。

再開を今か今かを待ちわびていた花火師の方々もその技術を

存分に発揮して感無量、面目躍如だったに違いありません。

花火の際に掛けられる『たまや！かぎや！』の掛け声。

由来をご存じの方、どれぐらいいるのでしょうか？

時は江戸時代まで遡ります。

当時から現代まで続く日本花火の草分けとも言うべき花火師一門が

『かぎや』でした。

その『かぎや』で修行を積み、天才的な技法を認められ、暖簾分けをした

番頭の静七が両国吉川町で玉屋市兵衛を名乗り開業したのです。

毎年夏の時期に両国橋を挟んで、上流が『たまや』下流が『かぎや』

それぞれ担当し江戸っ子たちを楽しませたそうです。

『かぎや』は前述の通り現代までその命脈を受け継いでおり

現在は女性当主が『かぎや』15代目として活躍中です。

一方その天才的な技法で江戸っ子たちを湧かせた『たまや』はどうなったのでしょうか？

当時詠まれた狂歌にこういうのがありました。

橋の上　玉屋玉屋の声ばかり　なぜに鍵屋と　いわぬ情なし

称賛の声は玉屋ばかり、鍵屋の声が無いのも仕方がない　錠が無いから口も開かない

『情』と『錠』を掛けていて読み手の洒落っ気が小粋です。

一代で江戸っ子の心を鷲掴みにした玉屋市兵衛ですが、火の不始末から出火。

近隣を類焼する大火事に発展し、その責任を問われて江戸から追放。

斯くして『たまや』はわずか３５年で廃業することになりました。

そうした花火にも似た儚さが『たまや』の掛け声が多い理由かもしれません。

燃え尽きる一瞬に己のすべてを掛けた花火師たちの花舞台。

存分に楽しもうではありませんか＼(^o^)／

・・・人混み嫌いなので現場には行きませんけどね、私はｗ