これから お話することは 誰にも口外しないでください
ここだけの話です 内密に 内密に
私が シャシャの丘に登って 塔の後ろで一休みしていると
若い女性の声で 独り言を言っているのが聞こえてきました
その内容が これからお話するシャシャの秘密です これは秘密ですよ
シャシャが もし知ったら 貴方は全ての調合に失敗する羽目になるかもしれません
お日様が 東の空に輝いて 心地良い風が吹く頃
私は いつも この高台で ゆらゆらと 遠くの方を眺めている
水平線の辺りに 白い海鳥が舞い上がると
私の心は さざ波のように色めき立つ
一千年の間 待ち焦がれし 定められたあの方が
今にも 私の前に現れるのではないかと
しかし いつも 何もなかったかように
お空に 白い雲がポッカリと浮かんでいるだけでした
そして 虚しい葉擦れの音とともに 緑の風が吹きさって行きました
幾万の人々が ここを訪れては 去っていったというのに
待ち焦がれた人は ついに来なかった
ああ 私の魔法をもってしても これはどうにもならないこと
今日もまた 諦めの一日が始まったわ
悪いことをしたとは 思いつつも この落胆が 来た人の調合に反映するらしい
ごめんね 貴方の願いに答えられなくて
きっと あの方にめぐり逢えたら 貴方の調合を全て叶えてあげるわ
とまあ こんなことを独りごちしていた
シャシャも 切ない思いをしているのね
どんなことがあっても シャシャの前でイチャイチャしちゃいけませんよ あはは
ところで シャシャのいう定められし人とは どんな人だろう