https://gigazine.net/news/20211224-edge-reminders-switch-bing/
MicrosoftがChromium版Edgeをリリースして以来2年以上にわたってEdgeを愛用してきたというIT系ニュースサイト・Ars
Technicaのライターが、「EdgeやMicrosoft製品を使うよう求めるMicrosoftのやり方が強引になってきている」と苦言を呈しています。
Ars
Technicaのシニアテクノロジーレポーターのアンドリュー・カニンガム氏は、Chromiumを採用したEdgeのメモリやバッテリー使用量がGoogle
Chromeより若干優れているように思える点や、Googleに個人情報を渡すよりMicrosoftに渡した方がましなように感じられる点、BraveやOperaのような小規模なブラウザより長期的にサポートが行われる可能性が高い点から、macOS版Edgeのプレビュー版のリリースと同時に、Edgeに乗り換えることを決めました。
カニンガム氏はEdgeに満足しており、Chromeが恋しくなることはなかったとのことですが、ここ最近MicrosoftがEdgeにさまざまな「付加価値」をユーザーに無断で追加し始めたことには閉口しているそうです。その事例の1つが、MicrosoftがEdgeに追加した「今すぐ購入、後で支払い」機能です。決済サービス・Zipと共同で提供されているこの機能は、Edgeで行うあらゆるネットショッピングを分割での後払いにできる機能ですが、ユーザーの意思に関係なく一方的に導入されることやブラウザが重くなること、利率が高いことなどからユーザーからは批判が相次いでいます。
当初はこの新機能に関心がなく、歓迎も拒否もしていなかったというカニンガム氏は、「私はこの機能を使うつもりがないので気にしていませんでしたが、ここ最近Microsoftが始めた強引なパターンと同じ振る舞いをしはじめたので、ひどくイライラさせられることになりました」と話しました。
カニンガム氏によると、この後払いサービスに限らず、Microsoftは最近になって価格比較機能やクーポン発行サービスなどを矢継ぎ早に導入し始めており、ユーザーが買い物をしようとしていると察知すると大量のポップアップ表示を出してくるようになったとのこと。ポップアップを非表示にしたり不要な機能をオプトアウトしたりすることも可能ですが、そうすると今度はブックマークや設定の同期が止まってしまうのだそうです。
カニンガム氏はまた、Edgeを使っていないユーザーにはEdgeを、Edgeを使っているユーザーには検索エンジンのBingを使うようしつこく求めるMicrosoftの姿勢にもうんざりしており、Bingを「Googleより精度が悪く、プライバシー重視のDuckDuckGoのようなメリットも皆無な最悪の検索エンジン」と酷評。「そもそもEdgeを使うことを選択しているにもかかわらず、Edgeに切り替えてBingを使うようにしきりに促すのは、Microsoftがユーザーの好みや意思決定能力を根本的に軽視していることの表れです」と非難しました。
こうした問題点から、カニンガム氏はEdgeを「私はEdgeがいいブラウザだと信じており、当面はブックマークをまとめてもう一度ブラウザを乗り換えるつもりはありません。しかし、MicrosoftがEdgeを売り込むために使っている強引な手法や、同社が追加している余計な機能の数々が、Edgeを他の人にすすめるのを難しくしています」と評しました。
Microsoftが、純正ブラウザの「Microsoft Edge」に短期融資機能である「今すぐ購入、後で支払い(BNPL)」機能を統合する計画を立てた件について、Microsoftの技術コミュニティの記事に対して非難コメントが大量につけられています。
https://gigazine.net/news/20211202-microsoft-edge-bnpl-revolt/
BNPLはサードパーティーの支払いサービスであるZipと連携することで、ケースによっては無利子での分割払いが可能になるというもの。本来はZipのアカウントにサインインしなければBNPL機能を利用することはできませんが、MicrosoftはEdgeに登録されているMicrosoftアカウントをZipアカウントと連携することで、BNPL機能をEdge上で簡単に利用可能にしました。
IT系ニュースサイトのArsTechnicaによれば、このBNPL機能の追加を否定的に評価するユーザーも存在するとのこと。あるユーザーは「こうしたサードパーティーサービスの統合はやりすぎだと思います。Edgeは単なるブラウザではなく、世界で最も重要なデスクトップOSのデフォルトブラウザです。それはメリットだけではなく、ユーザーに対する責任も負わなければなりません。不必要な金もうけのために、せっかくの素晴らしいブラウザを台無しにしないでください」と訴えています。
また、別のユーザーは「BNPL機能は不要ですね。Microsoftが推しているショッピングやディスカバリーの機能もいりません。こういったものは拡張機能に委ねるべきです。それよりも、最低限のリソースしか使わず、高速で安全性の高いブラウザに興味があります。Mac向けのEdgeはどんどん重くなっています」と述べています。
そして、あるユーザーは「35ドル(約4000円)の商品を購入すると、1カ月当たり購入金額の11%を払うことになります。これは実効年利率に換算すると250%にものぼります。最も搾取的なクレジットカードですら、実効年利率は40%程度です」と述べ、Microsoftが非常に高い利子を課す可能性を指摘しています。
Microsoftの広報担当者は「ユーザーのMicrosoftアカウントをZipのアカウントに連携させることで手数料を徴収することはありません」と述べていますが、Microsoftが無利子の分割支払いを可能とするBNPL機能でどのように報酬を得ているのかについて言及を避けています。
ArsTechnicaは「BNPL機能は、ユーザーからお金を奪うことよりも、ブラウザの安全性が問題となります。BNPL機能の搭載によって、ブラウザが攻撃対象となるケースが増えます。ハッカーが悪用できる潜在的な脆弱(ぜいじゃく)性を持つコードが増えるということです」と述べ、強制的にBNPL機能を搭載することで、Edge自体のセキュリティリスクも大きくなると指摘しました。
2021年11月15日、Microsoftのテクノロジーフォーラム上でMicrosoft
Edgeの新機能として「Buy Now Pay Later(BNPL:今すぐ購入、後で支払い)」が発表されました。Microsoft
EdgeのBNPLを利用すると、買い物客は購入を均等な分割払いで支払うことが可能になり、多くの場合は無利子での分割払いが可能になります。
https://gigazine.net/news/20211122-microsoft-edge-new-bnpl/
通常、BNPL機能はTargetやウォルマートといった一部のECサイトでのみ利用可能ですが、Microsoftはサードパーティーの支払いサービスであるZipと提携することで、「Microsoft
Edgeを使えばあらゆるサイトでBNPLを使用可能になる」というオプションを提供します。
Microsoft EdgeのBNPLオプションは、ウェブサイトの支払いページでクレジットカード番号を入力すると以下のように表示されます。
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また、一部のウェブサイトでは支払いページに入るとすぐにBNPLオプションが表示されます。
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通常、ZipのBNPLオプションを利用する場合、支払い時に毎回Zipのアカウントにサインインする必要がありますが、Microsoft
EdgeのBNPLオプションではMicrosoftアカウントからZipアカウントに接続するため、Zipアカウントへのサインインはバイパス可能となります。
なお、Microsoft EdgeのBNPLオプションは、記事作成時点ではMicrosoft Edgeの開発者版であるCanaryおよびDevチャンネルでのみ利用可能となっていますが、バージョン96以降はすべてのユーザーがデフォルトで利用可能となります。
これに対して、海外テクノロジーメディアの
XDA Portal & Forumsは「Microsoft Edgeの新しいBNPL機能は
ブロートウェアです」と報じています。