https://gigazine.net/news/20210914-firefox-default-browser/

MicrosoftはWindowsの標準ブラウザーとして「Microsoft Edge」を提供しており、「Firefox」や「Google Chrome」といった別のブラウザーを既定のブラウザーとして使うには各ユーザーが設定を変更する必要がありますが、このブラウザ変更にかかる手順がWindows 10やWindows 11では悪質になっているとして非難が殺到しています。こうしたブラウザ変更の手間に対し、2021年8月に公開された「Firefox 91」は「規定のブラウザー設定」を改善して華麗に対処していると話題を呼んでいます。
Firefox を既定のブラウザーにするには | Firefox ヘルプ
https://support.mozilla.org/ja/kb/make-firefox-your-default-browser#firefox:win10:fx91
Mozilla has defeated Microsoft’s default browser protections in Windows - The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/13/22671182/mozilla-default-browser-windows-protections-firefox
Windows 10では、既定のブラウザーや既定の音楽プレイヤーなどを変更する際には「設定」アプリで既定のアプリ選択画面を開いた上で、目的のアプリを選択する必要があり、「Firefox 90」までのFirefoxでも同様の設定が必要でした。Windows 10で「Firefox 90」までのFirefoxを規定のブラウザーにする手順は以下の通り。
まず、Firefoxの設定画面から「既定のブラウザーにする」をクリック。

すると、自動的に「設定」アプリの既定のアプリ選択画面が開くので、「Webブラウザー」の欄をクリックして「Firefox」を選択すれば、Firefoxが既定のブラウザーになります。

上記の通り、Firefox
90までは既定のブラウザーへの設定がFirefoxだけでは完結せず、Windowsの「設定」アプリでの操作が必要でした。しかし、Windowsの純正ブラウザであるMicrosoft
Edgeを既定のブラウザーとして設定する際はWindowsの「設定」アプリを開かずともMicrosoft
Edgeだけで設定を完結させることが可能です。そこで、Firefoxの開発チームはMicrosoft
Edgeの設定動作のリバースエンジニアリングを行い、Firefox
91からはWindowsの「設定」アプリを開くという動作が不要な設定操作を実現しました。
実際に、記事作成時点の最新版であるバージョン92.0のFirefoxを使って、既定のブラウザーをMicrosoft EdgeからFirefoxに変更してみます。Firefoxの設定画面から「既定のブラウザーにする」をクリックすると……

たったのワンクリックでFirefoxを既定のブラウザーに変更することができました。

上述の通り、Firefox 91以降のFirefoxではWindows 10における既定のブラウザー変更設定がシンプルになりましたが、2021年10月5日にリリース予定のWindows
11では既定のアプリを変更する操作がWindows
10よりも面倒になっていることが報告されています。それでも、「他のブラウザーでは不可能だったものの、Firefoxでは初回起動時のダイアログから正しく既定のブラウザーを設定できた」という報告もあるため、Firefoxへの変更はシンプルさが保たれそうです。
IT系ニュースサイト・The Vergeの報告によると、Windows
11でリンクをクリックするなどしてブラウザを起動すると、以下のように規定のブラウザを選択する画面が表示されるとのこと。しかし、この画面が表示されるのは最初の1回のみで、このタイミングを逃すと後から一括で規定のブラウザを変更することはできません。

後から規定のブラウザを変更するには、HTM・HTML・PDF・SHTML・SVG・WEBP・XHT・XHTML・FTP・HTTP・HTTPSといったファイルやリンクの種類ごとに、ブラウザを選択しなければならないとのこと。これは、「ブラウザ」「ビデオプレイヤー」「フォトビューアー」などのカテゴリごとに一括で規定のアプリを選択できたWindows
10に比べると大きな改悪だと、The Vergeは指摘しました。
しかも、Edgeから他のブラウザへと切り替えるのを考え直すよう求めるメッセージが表示されることもあります。
Firefox・Chrome・Opera・Vivaldi・Braveといったブラウザでは、初回起動時に既定のブラウザに指定するためのダイアログが表示されます。しかし、The
Vergeがこれらのブラウザの最新バージョンをテストしたところ、正しく規定のブラウザを設定できたのはFirefoxだけで、他のブラウザでは上述の手間がかかる設定が必要でした。
また、Windows 11には検索欄から直接検索ができるタスクバーウィジェットが新しく追加されていますが、ウィジェットの検索結果からサイトを開くと、規定のブラウザを完全に無視してEdgeが起動するとのことです。
Microsoftの広報担当者はThe Vergeに対して、「Windows 11では、デフォルトの設定をより細かくカスタマイズするために、アプリのカテゴリを廃止しています」と述べて、今回の変更はカスタマイズ性を高めるためのものだと説明しました。
一方、Firefoxの開発会社・Mozillaのシニア・バイス・プレジデントであるセレーナ・デッケルマン氏は、今回の変更について「規定のブラウザに関する設定を変えようとすると、余計な手順を踏まなければならなくなりました。これは、控えめに言っても混乱を招くもので、Microsoftのブラウザ以外の選択肢をなくすよう意図されたもののようにしか見えません」とコメント。
また、GoogleでChromeやAndroidのシニア・バイス・プレジデントを務めるヒロシ・ロックハイマー氏はTwitterで、「(規定のブラウザの変更がわずらわしい現状は)開発者向けプレビュー版だけのもので、正式にリリースされるWindows
11はMicrosoftの主張通りになっていることを願っています。このままでは、Microsoftが主張している『選択肢』とはほど遠いものですから」と述べました。