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マンションやアパートで使う光回線が遅いと感じている人は多くいます。通信速度を改善するには、まず遅い理由を知って適切な対策を取る必要があります。ここでは、集合住宅の光回線が遅い4つの理由と4つの対策を紹介します。
マンション・アパートの光回線が遅い4つの理由
インターネットが当たり前の現代社会において、マンション・アパートの大半には光回線が導入されています。しかし、光回線にしては通信速度が遅いと感じる人は少なくないようです。
ここから、集合住宅の光回線の通信速度が遅い4つの理由を具体的に解説していきます。
集合住宅の光回線の通信速度が遅い理由:
- 1本の回線に対して利用者が多過ぎる
- 部屋への配線方式が電話回線(VDSL)になっている
- プロバイダ側に問題がある
- ルーターやONUが古い
遅いと感じる通信速度はどれくらい?インターネットで何をするかによって、必要な通信速度は異なります。たとえばYouTube動画を視聴する場合、実効速度が3Mbps以下なら遅く感じるかもしれません。オンラインゲームで遊ぶなら10Mbps以下だと重くなることがあります。快適な通信速度の目安として、20Mbps以上スピードが出ていれば不足を感じることはありません。
①1本の回線に対して利用者が多過ぎる
集合住宅の居住者数が多ければ多いほど、光回線をそれだけ分け合うことになり通信速度も落ちてしまいます。
一棟のマンションに届く光回線は最大32分岐まで可能です。単純計算になりますが、最大1Gbpsの光回線を32戸で光インターネットを使用すると、一戸あたりの最大速度は約31Mbpsです。(1Gbps÷32=0.031Gbps=31Mbps)
それに加え、もし住民の中にインターネットのヘビーユーザーがいたとすると、1人で大量のデータ通信をすることで隣人の通信速度が落ちてしまいます。
マンションで特に夜の時間帯にネット速度が落ちるのは、夜間に住民の在宅率が上がってインターネットを使う人が増えるからです。
対策
すぐにできる対策として、混雑しない日中にインターネットを利用する、を挙げることができます。ただし、上記のような理由でインターネットが遅い場合、根本的に問題を解決するには以下のような方法をおすすめします。
②部屋への配線方式が電話回線(VDSL)になっている
建物の共有部にある配電盤までは光回線が来ていても、そこから各部屋までは電話回線が使用されているため、速度が遅くなる場合も少なくありません。
集合住宅の共有部から各部屋までの配線には以下3種類の方式があります。
- 光配線方式(最大速度1Gbps)
- LAN配線方式(最大速度100Mbps)
- VDSL配線方式(最大速度100Mbps)
この中で一番多く採用されているのがVDSL配線方式です。もともとある電話回線をそのまま使用するので、工事が容易でコストも安いからです。特に、建築年数が経った建物はVDSLが多いといえます。
VDSLとADSLは電話回線でも特徴が異なる光回線に使用されるVDSLと、光回線の前に主流だったADSLはどちらも電話回線を使った通信ですが、電気信号の周波数に違いがあります。VDSLは高周波数なので通信速度が速く通信距離が短いのに対し、ADSLは低周波数のため通信速度が遅い代わりに通信距離は長くなります。VDSLはその特徴ゆえに建物内の通信回線に適しているといえるでしょう。
せっかく建物の共有部まで光回線(最大1Gbps)でも、そこから部屋までがLAN方式またはVDSL方式だと、最大速度は10分の1になってしまいます。つまり、スピードが100Mbps以上出ることは絶対にありません。
引越しを機に光回線の申込みを検討しているのなら、引越し先のマンションがどの配線方式なのか気を付けてみるといいでしょう。
建物内の配線方式の違い
|
光配線方式 |
LAN配線方式 |
VDSL配線方式 |
各部屋までの
回線種類 |
光ファイバー |
LANケーブル |
電話回線 |
最大通信速度 |
1Gbps |
100Mbps |
100Mbps |
対応している
可能性が高い建物 |
築浅マンション |
築10年以上のマンション |
築10年以上のマンション |
採用している建物数 |
少ない |
少ない |
多い |
導入のしやすさ |
しにくい |
しにくい |
しやすい |
配線工事の費用 |
高価 |
安価 |
安価 |
対策
配線の変更を管理会社や大家さんにリクエストするという選択肢もあります。スムーズに承諾してもらえれば良いのですが、仮にダメだった場合には以下のような対策が効果的です。
③プロバイダ側に問題がある
大元の光回線ではなく、接続サービスを提供するプロバイダ側の問題で通信速度が落ちる場合もあります。プロバイダ側で速度低下する原因は主に次の3つです。
プロバイダの設備が弱い
プロバイダの通信設備が弱い、つまり十分に整っていないと速度低下につながります。インターネット接続事業をメインでやっているプロバイダであれば、設備もしっかりメンテナンスされていると考えられます。
ユーザー数の規模が大きい
一プロバイダの抱えるユーザー数が多過ぎると、逆に通信速度が落ちる原因にもなり得ます。「大手だから速度も速いはず」とは考えない方がいいでしょう。
IPv6(IPoE)通信方式に未対応
インターネットには、これまで主流だったIPv4(PPPoE)と、最新のIPv6(IPoE)という2つの通信方式があります。IPv6(IPoE)通信方式に未対応のプロバイダは速度も低くなりがち。プロバイダを決める際にはIPv6対応かどうかチェックしてみてください。
対策
プロバイダーを変更せずとも、今のプロバイダーがIPv6に対応をしているならば、そちらを申し込むと良いでしょう。多少時間とお金がかかっても構わないということであれば、回線そのものをフレッツ光以外にするという手段もあります。
④ルーターやONUが古い
自宅で使用しているWi-FiルーターやONU(光回線終端装置)が古いために、通信速度が落ちることもあります。つまりマンション・アパートだからではなく、手元の装置が原因で遅くなっている場合もあるということです。
今使っているルーターやONUが遅い原因かどうか知るには、無線LAN規格が11acに対応しているかどうか背面の記載をチェックしましょう。無線LAN規格がIEEE 802.11a/b/g/nとなっていてacと記載されていないなら、最大450Mbpsまでしか出ません。
対策
ルーターやONUが原因の場合があきらかな場合は、最新の機種に変更することをおすすめします。
マンション・アパートの光回線の遅さ4つの対策
次に、光回線が遅い場合の対策をすぐに実行しやすい順に4つ紹介します。
ステップ①混雑しない日中にインターネットを利用する
ステップ②IPv6(IPoE)通信方式を利用する
ステップ③ルーターやONUを最新にする
ステップ④他の光回線/モバイルWi-Fiの導入を検討する
ステップ①混雑しない日中にインターネットを利用する
マンション・アパートでインターネットが混みやすいのは夜間や休日なので、逆に混まない平日の昼間にインターネットを利用すると快適です。たとえば、容量が重いファイルや動画などは日中にダウンロードしておくことができます。
ただし、最近はテレワークが増えています。マンションやアパートに住みながら自宅勤務する人が多くなっているので、日中でも通信速度が遅いという声も少なくありません。
そのような場合、次のステップに進みましょう。
ステップ②IPv6(IPoE)通信方式を利用する
旧来の通信方式IPv4(PPPoE)が一般道路だとすると、最新の通信方式IPv6(IPoE)は高速道路。IPv6接続すると、渋滞することなくスムーズで快適な通信が可能になります。
現在IPv6接続できているかどうか調べるには、スピードテストなので確認が可能です。IPv6で接続されているか簡単に確認する方法を参考に確認してみてください。
IPv6接続できない2つの要因と対策は次の通りです。
- プロバイダはIPv6に対応しているのにIPv4接続になる ⇒ ステップ③に進む
- プロバイダがIPv6に未対応 ⇒ プロバイダだけ乗り換える、またはステップ④に進む
IPv6に対応している光回線の一覧は以下の通りです。また、キャリアユーザーならば、ドコモ光、ソフトバンク光もIPv6に対応している上、スマホとの割引がありますから是非導入を検討してみましょう。
キャリアユーザーにはキャリアの光回線プランがおすすめ
ステップ③ルーターやONUを最新にする
現在使用しているWi-FiルーターやONUが古いと通信速度が落ちる原因になるため、最新の機種に買い替えるのも手です。
購入する際には、以下の条件を満たしているルーターを選ぶようにしましょう。価格も4千円台~と手頃な金額で手に入れることが可能です。
- IPv6接続対応
- 周波数帯2.4GHz/5GHz対応
- 無線LAN規格11ac対応
Wi-Fiルーターの設置場所を見直そうWi-Fiルーターの設置場所とパソコンやその他デバイスの間に障害物(コンクリートの壁など)があったり、他の電化製品(電子レンジ、コードレス電話機など)による電波干渉があったりしても速度低下につながります。Wi-Fiルーターを設置する場所を見直すことで速度が改善する場合があるので試してみましょう。
ステップ④他の光回線/モバイルWi-Fiの導入を検討する
ネット回線自体を切り替えるのが、通信速度アップに最も大きな効果があります。検討するに値するネット回線は次の2種類です。
- フレッツ光以外の独自光回線
- モバイルWi-Fi(WiMAX)
フレッツ光以外の独自光回線
NTTフレッツ光ではなく独自の光回線を使っているNURO光やauひかり、その他の地域限定型光インターネットを契約すると、大きなスピードアップを図れます。
マンションやアパートに備え付けの光回線は最大32分岐されるため、速度が大きく落ちることは上述のとおりです。しかし、これらの独自光回線なら回線を自分だけで独占できるので、どれだけ速くなるか想像がつくのではないでしょうか。
モバイルWi-Fi(WiMAX)
別の光回線に切り替えるのが面倒くさい、またはマンションの管理者から許可が得られないなど事情がある場合、モバイルWi-Fiに申し込むのも選択肢の1つといえます。
モバイルWi-Fiなら、小型の無線ルーター1つで高速インターネットできます。回線工事が不要なので、申し込んでから数日後には使い始められるという気軽さも人気の理由。
特にWiMAX(ワイマックス)は、下り最大速度440Mbpsという速さを誇ります。マンションやアパートの上階に住んでいるなら電波も入りやすいので、検討してみるといいでしょう。
まとめ
マンション・アパートの光回線が遅い理由と対策をまとめました。
ルーター/ONUが古い ⇒ 最新のIPv6対応機種に買い替える
プロバイダがIPv6接続に対応していない ⇒ プロバイダまたは光回線を乗り換える
居住マンションの配線方式がLAN/VDSL⇒ NURO光などの独自光回線に乗り換える
光回線の遅さから今すぐ解放されたい ⇒ NURO光のモバイルWi-Fiレンタル、もしくはWiMAXに申し込む