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自己破産・個人再生を行うと官報に個人情報が記載されますが、この官報の情報を利用して破産者の情報を公開している「破産者マップ」というサイトが存在します。
破産者マップの情報は個人の名誉・プライバシーを侵害しているとして、一度閉鎖されました。
しかし、2022年に新たな破産者マップが再び公開され、個人の破産情報を公開している状況です。
本記事ではこの破産者マップについて、新破産者マップの最新情報とあわせて詳しく解説していきます。
破産者マップについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧になってください。
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それでは早速、破産者マップの概要について確認していきましょう。
※本記事における破産者マップの情報は、2022年12月24日現在の情報です。
官報の破産者情報がGoogleマップふうに見られる
破産者マップとは、自己破産した個人・企業の名前・住所などの情報をGoogleマップ上で掲載したサイトです。
破産者マップではGoogleマップ上にピン止めが打たれており、このピン止めをクリックすると自己破産した個人・企業の情報が表示されます。
掲載される情報は下記のとおりです。
自己破産した個人・企業の情報は、官報に掲載されます。
官報とは政府・各省庁が国民に知らせるべき情報(法律・政令の制定や改定、破産・相続等の裁判内容、大臣・各省庁の人事異動など)を掲載した機関紙です。
官報の情報は誰でも無料で閲覧できます。破産者マップは、この官報に掲載された破産者情報を引用してマップ上に掲載している形です。
ただし、官報の情報とはいえ、自己破産・個人再生した事実を広めてほしい人は少数派でしょう。
実際に破産者マップは個人の名誉・プライバシーを侵害するものとして、民事訴訟を起こされています。
何をしたら官報に載る?
個人が官報に載るケースは、主に下記の2つです。
自己破産とは、裁判所から「支払いが不可能である」と認められた債務をすべて免除してもらう手続きになります。
自己破産が認められた場合、借金がすべてゼロになり、返済義務が消滅します。借金問題を解決する際の最終手段が自己破産であると考えてください。
個人再生とは、抱えている債務の大幅減額を実施する法的手続きになります。裁判所から再生計画の認可を受けることで、借金減額が可能です。
減額後の債務に関しては、3年ほどの年月をかけて返済を行います。すべての債務がゼロになるわけではない点、自己破産との違いです。
自己破産・個人再生を行うと、破産者の情報が官報に掲載されます。官報に破産者情報が掲載されるタイミングは下記のとおりです。
自己破産の場合 |
「破産手続開始決定」「免責許可決定」時の計2回 |
個人再生の場合 |
「再生手続開始決定」「書面による決議に付する旨の決定」「再生計画許可決定」時の計3回 |
自己破産・個人再生を行った際の官報への情報掲載は、拒否することができません。破産情報が公に公開されてしまう点は、自己破産・個人再生のデメリットといえます。
ただ、官報を日常的に読んでいる人はごく少数です。官報経由で自己破産・個人再生を行ったことが知られるケースはあまりないと考えてよいでしょう。
新破産者マップとは
破産者マップのサイトは、じつは2019年4月19日に一度閉鎖されています。
前述したように、破産者マップは名誉棄損・プライバシーの侵害にあたる可能性があるとして、民事訴訟が起こる事態になりました。
この結果を受けて、破産者マップは閉鎖状態となったのです。
その後、破産者マップに類似したサイトが複数登場してきますが、個人情報保護の観点から新サイトの運営も続々と停止していきます。
このような状況のなか、2022年6月20日に「新破産者マップ」というサイトが新たに登場しました。
この「新破産者マップ」がどのようなサイトなのか、詳細を確認していきましょう。
新破産者マップサイトは海外が運営
新破産者マップでは、以前の破産者マップと同様にGoogleマップ上で破産者の氏名・住所・破産した日付が掲載されています。
破産者マップと異なる点は、サイトは海外で運営している点です。
新破産者マップの運営者は「海外で運営しているサイトは現地の法律が基本的に適用されるため、日本国内の法律は適用されない」という趣旨の主張をしており、日本国内の法律に基づいたサイト停止には応じない姿勢を見せています。
サイト停止を免れるために海外での運営を行っていると考えられ、以前の破産者マップよりも法律面での対策を強めている姿勢が伺えます。
新破産者マップから破産者情報を削除したい場合は、ビットコインで料金を支払うようサイトに記載されています。
マップ上に打たれたピンの内容(破産者情報)を削除する場合は「50,000円」、ピンごとすべてマップ上から削除する場合は「10,000円」の支払いが求められている形です(ピン内容の情報を削除した場合、ピン自体は残ります。ピンをクリックすると「削除済み」の表示が出てくる形式です)。
ビットコインでの支払いでは、送金・入金の履歴が特定の金融機関に把握される心配がありません。
支払履歴が見えづらいビットコインでの支払いを要求していること、サイト運営を海外で行っていることを留意して、新破産者マップへの対処法を検討する必要があります。
新破産者マップへの対処法
新破産者マップから情報を削除するために、サイト運営者にビットコインの支払いを行うのはNGです。
というのも、まず支払いを行ったことでサイト上から情報がなくなる保証はないためです。
再度、破産者情報を掲載されて削除料金を請求される可能性もゼロではありません。
新破産者マップから情報を削除したい場合は、まずは弁護士・司法書士に相談しましょう。
海外運営のサイトとはいえ、弁護士・司法書士の対処によっては今後サイトが停止される可能性も十分あります。
個人でサイト運営者とやり取りすることは避けて、専門家に依頼して法的な手続きで対処するのが最善です。
官報の掲載でも会社や家族にバレる可能性が低い理由
官報に破産者の情報が掲載されても、会社や家族にバレる可能性は低いでしょう。
まず、官報を日常的にチェックしている会社・個人はそう多くありません。
弁護士・司法書士などの専門家、公務員、金融機関などは官報をチェックしているケースもありますが、一般の会社・個人が官報を隅々まで見ていることはあまりないと考えてよいでしょう。
また、官報自体が非常に読みにくい体裁になっている点も、バレにくい面でプラス材料です。
官報のサイトで実際の文面を見ると分かるのですが、官報では細かい文字で縦書きに情報が羅列されています。
特別な目的がなく、読みにくい文章をわざわざ確認する人は多くないと考えられます。
官報に破産者情報が掲載されても、心配しすぎないようにしましょう。
官報に掲載される自己破産と個人再生とは?
最後に、官報に掲載される自己破産・個人再生について、もう少し詳しく確認していきましょう。
自己破産
自己破産とは裁判所から免責許可をもらって債務をすべてゼロにしてもらう法的手続きです。
自己破産の手続きを行う際は、裁判所に対して「破産申立書」を提出します。その後、裁判所が内容を審査して免責許可を与えるか決めていく形です。
自己破産の対象となるのは、「支払い不能」の状態になっている債務者になります。
支払い不能とは、債務者の現在の収入や資産、将来的な収入などを踏まえて、債務をすべて返済するのが不可能である状態です。
支払い不能であるか否かは、裁判官が総合的に判断して決定します。
ただし、債務の原因が「免責不許可事由」にあたる場合に、自己破産が認められない可能性があるので注意が必要です。
免責不許可事由の内容は、下記のとおり規定されています。
財産の隠蔽等:財産を所有しているにも関わらず、意図的に財産を隠す行為
換金行為等:自己破産の申し立て直前にクレジットカードなどで商品を購入して、その商品を換金する行為
偏頗(へんぱ)弁済:特定の債権者に対して、偏って返済する行為
ギャンブルや浪費による財産の減少:競馬・パチンコなどのギャンブル、収入よりも大幅に高い金額の買い物など
詐欺的な借り入れ:自己破産の申し立て前から1年以内に、虚偽の所得証明書・身分証明書を使って行った借り入れ行為
上記のなかでも、借金を抱える理由として多いのが「ギャンブル・浪費」です。
基本的にギャンブル・浪費を原因にして抱えた債務は自己破産の対象となりません。
ただし、ほかの要因で債務が膨れている場合は、ギャンブル・浪費を行っている場合でも免責許可をもらえる可能性もあります。
自己破産を行える状態・条件であるか、弁護士・司法書士に相談することが第一です。
個人再生
個人再生とは、裁判所から再生計画の認可決定を受けることで債務を減額してもらう法的手続きです。
減額された金額分の返済を行うことで、ほかの債務に関しては支払い義務を免除してもらえます。
個人再生による借金減額は下記の3つの金額を比較したうえで、最も高い金額を採用して再生計画を立てていきます。
・負債額から算出する金額(最低弁済基準)
負債額 |
返済額 |
100万円未満 |
負債額全額 |
100万円以上、500万円未満 |
100万円 |
500万円以上、1500万円未満 |
負債額の1/5 |
1500万円以上、3000万円未満 |
300万円 |
3000万円以上、5000万円未満 |
負債額の1/10 |
・財産から算出する金額(清算価値基準)
不動産・自動車など、裁判所が財産と規定する資産の価値の総額
・収入から算出する金額
収入額から住民税・所得税などの税金、社会保険料、政令で規定された必要最低限の生活費を差し引いた金額の2倍の金額
※小規模個人再生の場合は、「負債額から算出する金額(最低弁済基準)」と「財産から算出する金額(清算価値基準)」の2つを比較して、高い方の金額を再生計画に適用します。
個人再生の場合は、条件を満たすことで車・自宅などの資産を持ったまま手続きが可能です。
車の場合、「自動車ローン」の支払いが終わっている場合は手元に残すことができます。
自動車ローンの支払いが途中の場合で、かつ車の所有権がローン会社側にある際は、個人再生でもローン会社に車を引き揚げられるので注意してください。
住宅の場合は「住宅ローン特則」の適用を受けることで、個人再生の手続き中でも住宅ローンの支払い・住宅の所有が可能になります。
住宅ローン特則を受けるための要件は下記の4つです。
- 個人再生の申請者本人が所有している(共有でも可能)
- 建物の床面積の1/2以上が居住用である
- 現在、個人再生の申請者本人が居住している
- 不動産に住宅ローン以外の抵当権がついてない
上記の要件を満たせば、個人再生を行っても住宅を処分する必要はありません。
現在、住宅を所有されている方で個人再生を行いたい場合は、住宅ローン特則が利用できるか事前に弁護士・司法書士に相談しておきましょう。
まとめ
- 破産者マップとはGoogleマップ上に個人・企業の破産情報(名前・住所・破産した日)を掲載して表示しているサイト
- 破産者マップに掲載された個人から名誉棄損・プライバシーの侵害を訴えられ、サイトは一時閉鎖
- 現在は「新破産者マップ」が登場しており、旧破産者マップと同様に破産者情報が公開されている
- 新破産者マップは海外で運営されており、日本国内での法的対処から逃れようとしている
- 新破産者マップから破産情報を消してもらうために削除料金を支払うのはNG
破産者マップでは、個人・企業の破産情報がGoogleマップに掲載される形で表示されています。
誰でも簡単に個人・企業の破産情報を確認できるため、破産者の名誉棄損・プライバシーの侵害にあたるとして問題になっています。
実際に、旧破産者マップはサイト閉鎖に追い込まれました。
ただ、現在は「新破産者マップ」という形で破産者マップが復活しており、旧破産者マップと同様に破産者情報を閲覧できる状態になっています。
新破産者マップは海外で運営されているため、日本国内の法的対処は適用されないと運営者が主張している状態です。
また、新破産者マップから破産者情報を削除したい際は、削除料金をビットコインで支払うよう提示しています。
海外で運営している点や高額な削除料金を提示している点から、従来の破産者マップよりも悪質性が高いサイトとみてよいでしょう。
新破産者マップから破産者情報を消したい場合でも、サイト運営者に削除料金を支払うのはNGです。
破産者マップに破産者情報が掲載された場合は、まずは弁護士・司法書士などの専門家に相談しましょう。
本記事の内容を通じて、破産者マップについて詳細を把握していただけると幸いです。
【おすすめ】国が認めた借金減額を使ってみる
借金で悩むのは時間のムダです。
借金を減らすことができれば返済の負担が軽くなり、毎日お金で悩むことがなくなります。
まずは無料で相談できるサービスを使い、自分の借金が減らせるか確認してみましょう。