https://banno-clinic.biz/sleep-disorders-caffeine/
眠れない、寝つきが悪い、眠りが浅いという悩みで、病院に相談される方が増えています。初診時には、体の病気、こころの病気、薬剤の副作用、嗜好品(飲酒、喫煙の習慣)について、チェックします。飲み物の中にカフェインが含まれているものを摂取すると、あなたの睡眠の質が低下します。
不眠で悩んでいる方が相談されています。
- 昨夜、なかなか寝付かれなかった
- トイレに何度も行った
- 眠りが浅かった
カフェインには、覚醒作用と利尿作用があります。これらの二つの働きが、あなたの睡眠障害の原因になっているかもしれません。
カフェインとは、キサンチン誘導体という化学物質のことで、中枢神経系の刺激作用があります。
ところで、私たちの脳内にはアデノシンという物質があり、眠気をもたらします。カフェインはアデノシンのはたらきをブロックするため、結果的に、覚醒を促します。
コーヒーを飲んで、頭がすっきりとする減少は、カフェインがアデノシンの働きを抑えることで、覚醒作用がはたらいたというメカニズムです。
カフェインを摂取すると、消化管から急速に吸収されます。半減期は、3.5~5時間です。効果として、覚醒のほか、眠気を覚ます、思考の回転が速くなる、強心作用(心拍数の増加、血圧上昇)、利尿作用があります。
カフェインの摂取量が毎日200~300mg以上となる習慣が続くと、耐性を生じることがあります。より多くのカフェインを摂取するようになるので注意しましょう。
最近では、残業が多い、受験勉強で夜遅くまで起きている方がエナジードリンクを利用しているケースを聞きます。カフェインの飲みすぎがあると、気分が落ち着かない、不安、手足の震え、不眠などが生じます。さらに、依存症が問題になります。
カフェインを含む飲み物、食品としては、コーヒー、日本茶、ウーロン茶、紅茶、栄養ドリンク、ココア、チョコレートなどがあります。日本茶の中でも、玉露について、カフェイン含有量が多いことが知られています。
エナジードリンク、薬局で購入することができる眠気覚まし用のドリンク・錠剤は、コーヒー、日本茶よりもカフェインが多いものもあり注意を要します。
安全に摂取できるカフェインの量は、体格、個人の体質によって異なりますが、北米では、1日あたり400mgまでとされています。ただし、妊婦の場合は、より少ない量が推奨されます。
寝る前にコーヒー、日本茶などを飲むと、入眠困難、寝てからの覚醒回数が増えることが問題になります。その結果、睡眠時間が減り、翌日の眠気の原因になります。
先ほど述べたように、利尿作用によってトイレの回数が増えるので、ぐっすりとした睡眠がとれません。アルコールと一緒に飲むと、知らないうちに脱水状態にもなるので、注意しましょう。
高齢者で寝つきが悪い、夜間頻尿で困っているときは、夕方から就寝時間までにカフェイン摂取がないか確かめてください。
夕方以降は、カフェインを含んでいない飲み物にすることを勧めます。外来では、水もしくは麦茶などを提案しています。麦茶の特長は、ノンカフェインです。
どうしても、コーヒーが飲みたいという方には、デカフェ、カフェインレスのタイプを選ぶことが代案としてあります。