コンビニ弁当に限らず、加工食品に使っている食品添加物は、「食品衛生法」によって使用基準が細かく制限されています。製造会社の都合や独自の判断で、好き勝手に食品添加物を足し引きできるものではありません。
また、天然添加物であっても、厚生労働大臣が許可した合成添加物(指定添加物)と同じ食品添加物として分類されます。食品安全委員会は、合成・天然といった枠組みにとらわれず、すべての食品添加物において安全性と有効性を科学的に評価しているので、必要以上に警戒しなくでも大丈夫です。
よく話題に挙がる「発がん性」についても、「発がん性あり」と評価された時点で食品添加物として扱われることはないので安心してください。
「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ローソン」の大手コンビニ3社では、各社オリジナル商品を対象に独自の基準で食品添加物の削減に取り組んでいます。
セブンイレブン |
セブンフレッシュフードにおいて、食品添加物は必要最低限の種類と量だけを使用している。 |
ファミリーマート |
ファミリーマートオリジナル商品において、2002年から合成着色料の使用を中止。2005年には天然甘味料の使用も中止している。 |
ローソン |
ローソンオリジナル商品は、保存料・合成着色料を使っていない。※店内調理を除く。 |
参照元:セブンイレブン公式/ファミリーマート公式/ローソン公式
食品添加物に危険性がないとしても、摂取量が少ないに越したことはありません。コンビニ弁当への不安が拭えないときは、各社オリジナル商品に注目してみるのもおすすめです。
食品添加物を使用するおもな理由は、野菜・お肉・魚などの食材を無駄なく安全に、最後まで美味しく食べるためです。コンビニ弁当に限らず、食品添加物が活躍することで食べ残しや食品ロスが減り、備蓄や介護食など目的に応じた多種多様な供給が可能になっています。
食品添加物の役割と種類
コンビニ弁当で例えるなら、製造から販売までの時間、食品を安全に保つ必要があります。このときに役立つのが保存料、pH調整剤、乳化剤などの食品添加物です。ほかにも、食欲をかきたてる彩りや香りには着色料、香料、酸味料などの食品添加物が役立っています。
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役割・目的 |
表示例 |
甘味料 |
食品に甘味を出す |
・キシリトール ・アスパルテーム |
着色料 |
食品の色味を調節する |
・クチナシ黄色素 ・食用黄色4号 |
香料 |
食品に香りを付ける |
・オレンジ香料 ・バニリン |
酸味料 |
食品に酸味を出す |
・クエン酸 ・乳酸 |
調味料 |
食品に旨みを加える |
・L-グルタミン酸ナトリウム ・グリシン |
保存料 |
食中毒の予防・食品劣化の抑制 |
・ソルビン酸 ・しらこたん白抽出物 |
pH調整剤 |
品質の安定・偏食防止・酸化防止・保存性の向上 |
・リン酸塩 ・クエン酸ナトリウム ・アジピン酸 |
漂白剤 |
食材の色素を分解して脱色・漂白する |
・亜硫酸ナトリウム ・次亜塩素酸ナトリウム |
光沢剤 |
食品の表面に光沢を与える |
・シェラック ・ミツロウ |
無添加が健康によいとは限らない
「無添加」「〇〇不使用」と表示された商品は、100%安全で健康によいとは限りません。
2022年3月30日、消費者庁が『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』を策定するまでは、明確なルールがなく不確かな状態で無添加・不使用が表示されていました。
たとえば保存料不使用の表示があっても同じ働きをする別の添加物が入っていたり、製造過程で添加物を含んでなくても原材料で使われていたり、と商品や企業によって実態はさまざまです。
無添加食品を求めている消費者間では「食品の闇」としてSNSでも話題になっていますが、完全無添加の食品を見つけ出すのが難しいほど、日本の食卓は食品添加物に守られています。
各メーカーの無添加戦略に惑わされず、栄養バランスを重視した食事選びを行うのがおすすめです。
コンビニ弁当では1日分の栄養バランスを補えない
コンビニ弁当だけでは、1日に必要な栄養バランスを摂取できません。コンビニ弁当からは、糖質・脂質・塩分を必要以上に摂取できますが、身体を作り出すために必要なタンパク質やミネラル、ビタミン、食物繊維が不足します。
1日1食のコンビニ弁当なら、追加食材や工夫次第で栄養バランスを補てんできますが、1日2〜3食コンビニ弁当だけの生活を毎日続けている場合は注意が必要です。
コンビニ弁当を毎日食べ続けたらどうなる?
コンビニ弁当だけを食べ続けていると、以下のような体調変化を起こす可能性があります。
- 太る(肥満)
- 生活習慣病
- 便秘・肌荒れ
- 体臭の悪化
- 疲労回復の低下
- 思考力の低下
コンビニ弁当は、糖質が多くカロリーも高いため、消費カロリーを増やさないまま食べ続けていると高確率で太ります。
特に、炭水化物がたっぷり入っていたり、油っぽくて味の濃い、ガッツリ系の食事を好む人は注意が必要です。脂質・塩分・糖質の摂取量が過剰に増え、最悪の場合には糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣を招くリスクが高まります。
ほかにもミネラルやビタミンなどの栄養不足で疲れやすくなったり、肌荒れや便秘が治りにくくなったりと、日常的な体調不良に悩まされるケースがあります。忙しいときに便利なコンビニ弁当ですが、健康のためにも毎日毎食取り入れる行為は避けるのがおすすめです。
コンビニ弁当を食べる・選ぶときの注意点
コンビニ弁当を食べる・選ぶときは、ビタミン・ミネラル・食物繊維を補える「野菜」「果物」「汁物」をプラスしてみましょう。
栄養バランスのとれた食事とは、1日に必要な総摂取カロリーにあわせて、『主食(炭水化物)+主菜(タンパク質)+副菜(ビタミン・ミネラル)+汁物(その他)』を組み合わせた料理です。
たとえば、主食メインのコンビニ弁当(ラーメンやパスタ)は、主菜や副菜がないぶんタンパク質不足になりやすいので、サラダチキン・焼き魚・納豆などの商品を追加して栄養バランスを調節します。
また、コンビニ弁当と一緒にサラダを食べるときは、炭水化物が多いポテトサラダやマカロニサラダではなく、野菜のみのシンプルなサラダを追加するのがおすすめです。
コンビニで体に悪い食べ物ランキング
コンビニで販売している商品で、食べ続けると体に悪い食品を3つピックアップしました。つい食べすぎてしまう食品ばかりなので、手に取るときは一呼吸おいてから判断してみましょう。
1位:おにぎり各種
コンビニのおにぎりが体に悪い主な理由は、1個あたりの糖質・塩分量が多いことです。
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コンビニのおにぎり |
1食の摂取目安量 |
糖質 |
約40g |
男性:約110g 女性:約90g |
塩分 |
約1g |
男性:約2.5g 女性:約2.1g |
おにぎり1個で満足できれば良いのですが、追加でパンや麺などのお弁当類を追加したり、おにぎりの数を増やしたりすると、糖質・塩分ともに過剰摂取のリスクが出てきます。
2位:揚げ物(ホットスナック)
コンビニの揚げ物は、使っている油に問題があります。よく危険視されている揚げ油の問題点は以下のとおりです。
- トランス脂肪を含むショートニングを使っている
- 酸化した油は有害物質「過酸化脂質」に変わる
動物油と植物油が原料の「ショートニング」は、揚げ油やパンに使われることが多い食用油脂です。しかし、ショートニングにはトランス脂肪酸が含まれており、世界保健機関(WHO)でも摂取を控えるよう注意喚起が促されています。
また、酸化した油は有害物質である「過酸化脂質」に変わる特性をもっているため、万が一のことがあれば健康に害を及ぼすリスクも出てきます。「揚げ物=悪い」というわけではありませんが、食べすぎに注意しましょう。
トランス脂肪酸とは
- 脂質を構成する脂肪酸の一種
- 過剰摂取すると善玉コレステロールが減り、悪玉コレステロールが増える
- 最悪の場合には心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが高まる
3位:パン(菓子パン)
コンビニのパン(菓子パン)は、1個あたりのカロリーが高く、糖質を多く含んでいます。
特に菓子パンは、チョコレートやクリーム、焼きそばなどを詰め込んだ糖質たっぷりの商品がメインです。1個ならまだしも、お腹を満たすために2個…3個…と追加していくと、糖質やカロリーの摂りすぎで肥満や生活習慣病を招くリスクが高まります。
各種パンのカロリー一覧
種類 |
カロリー |
食パン(6枚切り・1枚) |
168kcal |
バターロール |
112kcal |
ぶどうぱん |
353kcal |
メロンパン |
386kcal |
メンチカツパン |
302kcal |
たまご蒸しパン |
359kcal |
チョコクロワッサン |
431kcal |
健康を気遣うなら冷凍弁当・宅食もおすすめ!
コンビニ弁当に不安を感じている人には、管理栄養士が監修している栄養バランスのとれた宅配弁当(冷凍総菜・おかず)がおすすめです。
宅配弁当なら、糖質・塩分・タンパク質・カロリーに配慮できるほか、ダイエットや健康維持など目標・目的に応じた最適な食事が食べられます。
コンビニ弁当は添加物より栄養バランスに注意
コンビニ弁当だけの食生活は、
栄養バランスが糖質や脂質に偏るため「体に悪い」と言えます。しかし、ネット上で話題になる
食品添加物の影響はほぼないため、過剰に心配する必要はありません。
コンビニ弁当に限らず、どのような食品であっても、過剰摂取すれば体にとっては毒です。「コンビニ弁当だから体に悪い」と考えるのではなく、1日の栄養バランスを意識しながら、食事内容を見直していきましょう。