https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2112/16/news027.html
Microsoft Edgeの強制化が進む?
[検索]ウィンドウの検索結果をクリックするとMicrosoft
Edgeが起動し、Bingによる検索が実行される。Google
Chromeなど他のWebブラウザを起動できるようにするサードパーティー製ツールが提供されていたが、更新プログラムによって、そうしたツールの利用がブロックされるようになった。
このところMicrosoftが、「Microsoft Edge」による囲い込みを強化している。「Windows 10」や「Windows
11」を新規インストールした後、Microsoft Edge(以下、Edge)上でGoogle
Chromeをインストールするため、「chrome」で検索を実行すると、下の画面のような表示が行われるようになった。
Google Chromeのインストールを阻止したい?
「Windows
11」を新規インストールした後、Google
Chromeをインストールするため、Edge上で「chrome」の検索を実行すると、このメッセージが表示される。何とかGoogle
Chromeのインストールを阻止したいという、Microsoftの意思を感じる。
Tech TIPS「ひと手間増えたぞ、Windows 11のデフォルトブラウザ変更」で紹介しているように、Edgeから他のWebブラウザに変更する際の手順が増えており、「Edgeから他のWebブラウザに移行させたくない」というMicrosoftの意思を感じる。
さらにWindows 11では、タスクバーにある[検索]ボタンをクリックして表示される[検索]ウィンドウで検索する場合にも、後述の通り、Edgeの強制化が進みつつある。
なぜ、MicrosoftはEdgeの強制化を進めるのか考察してみた。
[検索]ウィンドウの検索結果をクリックするとEdgeが起動する
Windows 10/11のタスクバーにある[検索]ボタンをクリックして表示される[検索]ウィンドウで検索を行うと、検索結果として該当するWindowsの機能の他、ファイル名に検索文字列が含まれるドキュメントや音楽なども一覧に表示される。
加えて、Microsoftの検索エンジン「Bing」によるWeb検索の検索候補も表示される。この検索候補をクリックすると、デフォルトのWebブラウザに関係なく、Edgeが起動し、Edge上でBingを使った検索候補の検索が実行される。
[検索]ウィンドウの検索結果をクリックする(1)
タスクバーの[検索]ボタンをクリックして表示される[検索]ウィンドウで検索を行うと、Windows 11のコマンドやアプリだけでなく、Webの検索結果も表示される。
▼
[検索]ウィンドウの検索結果をクリックする(2)
[検索]ウィンドウで表示されたWebの検索結果をクリックすると、Edgeが起動し、Bingによる検索が行われる。
これは検索候補をクリックすると、一般的な「https://」リンクではなく、「microsoft-edge://」リンクによる呼び出しが行われるためだ。この「microsoft-edge://」リンクに関連付けられている(既定のアプリとなっている)のが、Edgeになっており、[Windowsの設定]/[設定]アプリでは他のWebブラウザには変更できないようになっている。そのうえ、Edge上で検索エンジンをBingからGoogleなどに変更していても、[検索]ウィンドウ経由の検索では必ずBingが使用される仕様なのだ。
Windows OSの機能を検索すると、同時に関連するWebコンテンツやツール類も検索できるなど、便利な面もあるのだが、使い慣れたWebブラウザが使えない仕様のためか、この[検索]ウィンドウを使ってWeb検索を行う人は少ないようだ。
[検索]ウィンドウからEdge以外のWebブラウザを起動する
Edgeが強制されるこの仕様に不満を持つ人は多いようで、[検索]ウィンドウのWeb検索候補を他のWebブラウザで開けるようにする無償ツールが幾つか提供されている。主なツールとして、「EdgeDeflector」「Search Deflector」などがある。これらのツールは、[検索]ウィンドウによる検索候補がクリックされたときの「microsoft-edge://」の呼び出しを、「https://」にリダイレクトするなどしてデフォルトのWebブラウザで開けるようにするものだ。
いずれのDeflectorツールも、インストール後、Windows
11の場合は[設定]アプリの[アプリ]-[既定のアプリ]画面で[Microsoft
Edge]をクリックし、「MICROSOFT-EDGE」を開くアプリを「Microsoft
Edge」からDeflectorツールに変更することで機能するようになる(Windows 11における既定のWebブラウザの変更方法は、Tech
TIPS「ひと手間増えたぞ、Windows 11のデフォルトブラウザ変更」を参考にしてほしい)。
Deflectorツールを利用することでEdge以外のWebブラウザを利用することも(1)
Deflectorツール(画面は「Search
Deflector」)をインストールすると、このように初回の検索実行時に開くアプリとして、Deflectorツールが選択できる。ここで、Deflectorツールを選択することで、デフォルトブラウザなどで検索結果を開けるようにできた。
Deflectorツールを利用することでEdge以外のWebブラウザを利用することも(2)
[設定]アプリの[アプリ]-[既定のアプリ]-[Microsoft
Edge]画面で、[MICROSOFT-EDGE]をクリックすると、Deflectorツールが選択できた。ここで、Deflectorツールを選択することで、デフォルトブラウザなどで検索結果を開けるようになった。
Windows
10の場合は、[Windowsの設定]アプリの[アプリ]-[既定のアプリ]画面で[プロトコルごとに既定のアプリを選ぶ]リンクをクリックし、[プロトコルごとに既定のアプリを選ぶ]画面を開き、ここで「MICROSOFT-EDGE」を開くアプリを「Microsoft
Edge」からDeflectorツールに変更する。
Windows 11ではEdgeでしか開けなくなった!?
こうしたツールにより、[検索]ウィンドウの使い勝手は大幅に向上したものの、MicrosoftとしてはわざわざEdgeの利用に限定した機能が、Deflectorツールによってバイパスされてしまうのは面白くなかったようだ。
2021年11月4日に配信されたWindows 11のプレビュービルド「Windows 11 Insider Preview Build 22494」では、Microsoft Edgeで開くように設定されているリンクを任意のブラウザで開くように変更する仕組みが機能しなくなっていることが判明しました。
通常の場合、「https://」で始まる普通のリンクは既定のブラウザとして設定されている任意のブラウザで開かれます。しかし、Microsoftの音声アシスタント・Cortanaが示すリンクや、Windowsの設定やヘルプ画面に記載されている一部のリンクは「microsoft-edge:https://」で始まっているため、既定のブラウザの設定にかかわらずMicrosoft
Edgeが起動してしまいます。
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by okubax
そこで、ソフトウェアエンジニアのダニエル・アレクサンダーセン氏は2017年に、Edgeで開くよう強制されているリンクを好きなブラウザで開けるようにするフリーソフト「EdgeDeflector」を開発して公開しました。このEdgeDeflectorを使うことで、Windowsユーザーはスタートメニューの検索結果や、Windowsとペアリングされたスマートフォンから送られてきたリンクなど、通常はEdgeで開かれてしまうようなリンクでもChromeやFirefoxなどで開けるようになります。
アレクサンダーセン氏によると、EdgeDeflectorは50万人のユーザーを抱える人気アプリだったとのこと。また、2021年10月にはBraveやFirefoxが相次いでEdgeDeflectorと同じ機能を採用したことから、ユーザーにとってEdgeの強要を回避する機能の需要は相当高いことが分かります。
しかし、11月4日に配信されたWindows 11 Insider Preview Build
22494からは、「microsoft-edge:」を扱うプログラムをEdge以外に設定することができなくなったため、EdgeDeflectorが機能しなくなってしまいました。アレクサンダーセン氏によると、強制的にWindows
11からEdgeを消し去っても、別のブラウザが開かれるのではなく空白のウィンドウとエラーメッセージが表示されるようになっており、何がなんでもEdge以外を使わせない措置が講じられているそうです。
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この変更に対し、アレクサンダーセン氏は「これはもはや、自社製品を大切にする気配りのある企業のやることではありません。MicrosoftはWindowsのよき管理者であることをやめて、ユーザーの生産性より宣伝や自社サービスを利用させることを優先させています」と述べて、怒りをあらわにしました。
アレクサンダーセン氏はまた、Windows 11では規定のアプリの設定が非常に煩雑になっていることを指摘した上で、「ユーザーにとっての最善の行動は、住んでいる地域の規制当局に通報するか、Linuxに乗り換えることです」と述べて、今回の変更は独占禁止法に抵触している可能性が高いとの見方を示しました。