https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/2003/26/news021.html
20H1の[Windows 10のバージョン情報]ダイアログ
Windows 10バージョン2004の完成が近い。
「Windows
10」の2020年春に提供される機能アップデートは、予定通りならば、2020年3月末から4月初めにかけて完成版となり、5月には一般向け配布が開始される。そのバージョン番号は「2004」で、ビルド番号は「19041」となる予定だ。既にWindows
Insider Programのプレビュー版は、スローリング(Slow
Ring)での品質アップデートが行われている段階だ。2019年12月から新機能の搭載が止まり、バグフィックスやパフォーマンス向上が主な変更点となっている。なお、3月17日時点では、OSビルドは、「19041.153」である。
20H1は意外に小粒な機能アップデート?
Windows 10バージョン2004(以下、「20H1」)の最大の変更点は、「WSL(Windows Subsystem for
Linux)
2」の搭載である。その他の変更点はそれほど大きなものではない。また、新機能となるものも意外に少ない。その原因の1つは、20H1と、2019年秋の機能アップデート(Windows
10 November 2019 Update。以下「19H2」)にある。
19H2に先取りされた新機能
20H1のプレビューが開始されたのは、2019年2月、つまりWindows 10 May 2019 Update(バージョン1903。以下「19H1」)の完成が近いタイミングだ。
その後、19H2は変則的な開発となり、2019年7月からプレビューが開始され、品質アップデート方式での更新となった。このため、先行して開発されていた20H1で新機能として紹介された機能の一部は、19H2に取り込まれていった。そこで、実質的に20H1で新機能といえるものが減ってしまったと思われる。こうした機能には、以下のものがある。
- カレンダーフライアウトから予定の登録が可能に
- エクスプローラーでの検索機能強化
- Windows Ink Workspaceの改良
- 設定通知ページの改良
OSから分離独立していく新機能搭載の標準アプリ
また、Microsoftは、標準搭載アプリのMicrosoft Storeでの配布を推進しており、Windows
10自体のアップデートと標準搭載アプリのアップデートは必ずしも一致しなくなった。こうした改良には、「電卓」(常に他のウィンドウより上に表示される設定の追加など)、「メモ帳」(表示テキストのキーボードからの拡大縮小)などがある。どちらも、現在の19H2で利用できるものは、かつては20H1の機能として紹介されたものだ。
Microsoftのサイトには、20H1の変更点をまとめたページがある。だが、そこは単にWindows Insider PreviewのBlogで紹介した機能をまとめただけで、19H2に搭載されてしまった機能や、既に19H2でも利用できる標準アプリ機能までが含まれている。
2in1向けの新しいデスクトップモードはWindows 10Xへ
また、20H1のプレビュー時には、2in1向けの新しいデスクトップモードが一時搭載されたビルドが配布されたものの、「ビルド19013」で廃止され、現在配布中の「ビルド19041.153」ではなくなっている。これは、2枚画面を持つ2in1向けになるWindows
10Xとの関係で、登場は、2020年の秋のアップデート以降になると思われる(Windows 10Xについては、Windows 10 The
Latest「2画面折りたたみタブレットに対応した『Windows 10X』とは」参照のこと)。
それでも残った20H1の大きなアップデートは?
20H1の大きな変更点は、以下のようなものになる。
- WSL 2の搭載
- クラウドイメージを使ったWindowsの再インストール
- パスワードを保存しないMicrosoftアカウント登録とサインイン
- 日本語IMEの改良
その他の変更としてDirectX 12のアップデートがある。DirectX
12のアップデートは、レイトレーシング(コンピュータグラフィックスの手法で、光線の屈折や反射などの物理法則にシミュレートすることでリアルな表現を行うもの)機能(DXR。DirectX
Raytracing)が改良され、DXR tier 1.0からDXR tier 1.1に更新される。興味のある方はMicrosoft
Blog記事(「DirectX Raytracing (DXR) Tier 1.1」[英語])を参照されたい。
ただ、レイトレーシング機能を利用するには、対応したGPUボードが必要な上、レイトレーシングを行うプログラムを作成しないと変更点を見せることができない。細かい話でもあり、APIやコンポーネント系のこうした改良については、ここでは省略させていただく。